ミンチ解体とは?なぜ禁止されたのか、分別解体との違いを現場目線で解説

禁止された理由と、分別の上手い下手が工期・処分費・近隣対応にどう効くかを、静岡県島田市の解体業者が現場の実感をもとに解説します。

ミンチ解体とは、木材・瓦・石膏ボード・金属などを分けずに、重機で建物をまとめて壊す解体方法です。2002年に建設リサイクル法が完全施行され、床面積80㎡以上の解体では分別解体が義務になりました。ここでは、禁止された理由と、分別の上手い下手が工期・処分費・近隣対応にどう効くかを、当社の現場の実感をもとに説明します。

この記事の要点

  • ミンチ解体=分別せずに重機で一気に壊す方法。2002年5月の建設リサイクル法完全施行で、床面積80㎡以上の解体では分別解体が義務になった
  • 混ぜて壊した廃材は「混合廃棄物」になる。リサイクルに回せず、処分費は分別した場合の倍以上かかる
  • ミンチは早そうに見えて、実際は積み込みのときに結局仕分けることになり、時間がかかる
  • 分別の段取りを理解している職人は倍以上早い。現場がきれいで、クレームも処分費も減る

ミンチ解体とは何か

ミンチ解体とは、建物の内装材・屋根材・木材・金属を事前に分けずに、重機で一度に壊して混合廃棄物として運び出す解体方法のことです。

ひき肉のように何もかも一緒くたにすることから、こう呼ばれています。2000年ごろまでは珍しいやり方ではありませんでした。重機を入れて端から崩し、出てきたものをダンプに積んで処分場へ運ぶ。手間が少なく、見た目には早い。

いまは逆です。「ミンチ解体」という言葉は、やってはいけない解体の代名詞として使われています。理由は法律だけではありません。実際にやると遅くて高くつくからです。

なぜ禁止されたのか

建設リサイクル法(正式名称:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)が2002年5月30日に完全施行され、一定規模以上の工事では現場での分別と再資源化が義務になったからです。

背景には、建設廃棄物の最終処分場がひっ迫していたことがあります。混ぜて埋めるのではなく、木は木、コンクリートはコンクリートで分けて資源に戻す。その仕組みを法律で決めたのがこの制度です。

対象になる工事の規模

工事の種類規模
建築物の解体工事床面積の合計 80㎡以上
建築物の新築・増築工事床面積の合計 500㎡以上
建築物の修繕・模様替(リフォーム等)請負代金 1億円以上
その他の工作物の工事(土木工事等)請負代金 500万円以上

一般的な木造住宅は延床30坪(約99㎡)前後なので、ほとんどの家屋解体が対象に入ります。

分別が義務になる「特定建設資材」

特定建設資材廃棄物になると
コンクリートコンクリート塊
コンクリートおよび鉄から成る建設資材コンクリート塊
木材建設発生木材
アスファルト・コンクリートアスファルト・コンクリート塊

法律で決まっている分別の順番

  1. 建築設備・内装材の取り外し
  2. 屋根ふき材の取り外し
  3. 外装材と構造部分(柱・梁・壁)の取り壊し
  4. 基礎・基礎ぐいの取り壊し

届出は工事の発注者(施主)が着工の7日前までに行います。実務上は解体業者が代行することが多いものの、義務を負うのは発注者です。無届は罰金の対象になります。

80㎡未満の小さな建物はこの法律の対象外です。ただし、だから混ぜていいという話にはなりません。理由は後述します。

現場ではこうなる

ミンチで壊すと、早くなるどころか遅くなります。ダンプに積み込むとき、結局そこで仕分けることになるからです。

処分場は品目ごとに受け入れています。木くずは木くずの処分場へ、コンクリートがらは破砕施設へ、金属は買取へ。混ざったままのものは「混合廃棄物」としてしか出せず、受け入れ先も限られます。現場で混ぜて壊した山を前にして、積み込みながら木を拾い、瓦を分け、金属を抜く。壊すときに省いた手間が、積み込みの段階で倍になって返ってきます。

上手な職人の現場は、本当にきれいです。

解体には手順があります。どこから手を付けるか、外したものをどこに置くか、重機がどう動くか、ダンプをどこに着けるか。段取りがすべてです。ものをそこに置くのには理由があり、動線には意味があります。それを理解している人は、そうでない人の倍以上早い。

きれいな現場は、まわりにも効きます。

  • 散らかっていないので、ほこりや飛散が少なく、近隣からのクレームが減る
  • 置き場が決まっているので、積み込みが速く、工期が短くなる
  • 品目がはっきり分かれているので、処分費が安く済む

施主から「解体ってこんな感じでやるんだ。感動した」と言われたことがあります。壊す仕事で感動されるのは珍しいことですが、段取りの良い現場を見ると、そう感じる方がいるのだと思います。

うまくいかなかったこともあります。

現場の指示が甘く、石膏ボードとケイカル板を一緒にしてしまったことがありました。どちらも白い板状の内装材で、見た目はよく似ています。しかし石膏ボードは処分先が限られる品目で、ケイカル板とは行き先が違います。混ぜたものは、あとから1枚ずつ分け直すしかありませんでした。壊す前に「これとこれは別」と一言伝えていれば済んだ話です。分別は重機の腕ではなく、指示の精度で決まります。

分別すると何が変わるか

分別の精度は、処分費にそのまま出ます。混合廃棄物の処分費は、きちんと分けた場合の倍以上かかります。

廃材の種類分別して出した場合混ざった場合
金属(鉄・アルミ・銅・配線)売れる(有価物)混合廃棄物に埋もれて価値ゼロ
木くず(柱・梁・下地)木くず処分場へ。チップ・燃料に再資源化混合廃棄物
コンクリートがら(基礎・ブロック)破砕して再生砕石に混合廃棄物
瓦瓦専用の処分先へ混合廃棄物
石膏ボード石膏ボード専用の処分先へ(受け入れ先が限られる)混合廃棄物。受け入れを断られることも
混合廃棄物—処分費が分別品の倍以上

金属は分けて出せば売れます。木くずとコンクリートは処分費を払いますが、単価は混合廃棄物よりはるかに安い。石膏ボードだけは別格で、専用の管理が必要な品目です。これが混ざると、受け入れそのものを断られることがあります。

工期も変わります。段取りが決まっている現場は、積み込みで止まりません。壊す人、分ける人、運ぶ人の動きがかみ合えば、同じ坪数でも日数が縮みます。処分費が下がり、人件費も下がる。分別は手間ではなく、費用を抑える手段です。

工期そのものの目安と、段取りで日数がどれだけ変わるかは解体工事の工期・スケジュールの目安で説明しています。

よくある誤解と、当社の考え方

「ミンチのほうが早くて安い」「80㎡未満なら分別しなくていい」「重機で壊すのは全部ミンチ解体」は、いずれも誤解です。分別しないほうが処分費は高くつき、分かれ目は重機を使うかどうかではなく、壊す前に分けているかどうかです。

誤解1「ミンチのほうが早くて安い」

逆です。壊すときの手間は減りますが、積み込みで仕分けることになり、処分費は倍以上になります。見積り段階で安く見えても、総額では高くつきます。

誤解2「80㎡未満なら分別しなくていい」

法律の対象外というだけです。処分場は混合廃棄物を嫌がりますし、単価も高い。小さな建物でも分けて出したほうが安く済むので、当社は規模にかかわらず同じ手順で分別しています。

誤解3「重機で壊すのは全部ミンチ解体」

違います。内装材・屋根材・金属を先に手で外し、構造だけになった状態で重機を入れるのが分別解体です。重機を使うかどうかではなく、壊す前に分けているかどうかが分かれ目です。

当社の考え方

職人の腕は、現場のきれいさで判断しています。置き場が決まり、動線が通っていて、品目ごとに山が分かれている現場は、工期も処分費も見積りどおりに収まります。逆に、壊した山が一つしかない現場は、その後に必ずしわ寄せが来ます。業者を選ぶときも、同じところを見ていただければ間違いが減ります。解体業者の選び方もあわせてご覧ください。

静岡県中部ではどうか

島田市・静岡市を中心とする県中部は、西部の浜松市に比べて処分場が少なめの傾向にあります。分別の精度が、他の地域以上に処分費に直結します。

処分場が少ないと、品目ごとの受け入れ先を選ぶ余地が狭くなります。混合廃棄物を受けてくれる場所はさらに限られ、運搬距離も延びがちです。混ぜて壊した場合の不利が、浜松よりも大きく出ます。

逆に言えば、きちんと分けて出せば、木くず・コンクリート・金属はそれぞれ近い受け入れ先に収まります。中部で解体する場合、分別は「やったほうがいい」ではなく、費用を抑えるための前提です。

当社は島田市金谷を拠点に、島田市・藤枝市・焼津市・掛川市・菊川市・牧之原市・静岡市など県中部を中心に対応しています。解体前の家財の片付けは残置物撤去として、解体で出る金属は買取として、まとめてご相談いただけます。

まとめ|ミンチ解体は早くも安くもない

ミンチ解体は、建設リサイクル法で80㎡以上の解体では禁止されており、法律以前に、積み込みで仕分けることになるため遅く、処分費が倍以上かかります。分別解体の良し悪しは段取りで決まり、段取りを理解している職人は倍以上早い。現場がきれいかどうかが、その目安です。

静岡県中部で解体をお考えでしたら、現地を確認したうえで、分別の手順と処分費の内訳を含めた見積りをお出しします。解体費用の決まり方とご依頼の流れもご参考ください。

よくある質問

ミンチ解体は今でも行われていますか?
床面積80㎡以上の建物では建設リサイクル法で分別解体が義務になっており、ミンチ解体はできません。80㎡未満は法律の対象外ですが、混合廃棄物の処分費が高いため、まともな業者は規模にかかわらず分別しています。
80㎡未満の小さな建物ならミンチ解体でもいいですか?
法律上の届出義務はありませんが、おすすめしません。混ぜて壊すと積み込みで仕分けることになって時間がかかり、処分費も倍以上になります。小さな建物ほど処分費の差が総額に響きます。
分別解体のほうが費用は高くなりますか?
手間はかかりますが、総額では安くなるのが普通です。金属は売れ、木くずやコンクリートは混合廃棄物より単価が安い。段取りの良い現場なら工期も短くなり、人件費も下がります。
業者がきちんと分別しているかどうかは、どこを見ればわかりますか?
現場のきれいさを見てください。品目ごとに置き場が分かれ、動線が通っている現場は分別ができています。壊した山が一つにまとまっている現場は、あとで仕分けることになります。見積り時に「内装材と金属を先に外しますか」と聞くのも有効です。

静岡県島田市を拠点に、木造・鉄骨・内装解体、アスベスト事前調査、金属スクラップ買取まで対応する解体工事の専門会社です。お見積り・ご相談は無料です。

解体工事業登録:静岡県知事(登8)第1372号

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